「FUJIFILM XF60mm F2.4 R macro」レビュー:ポートレート撮影、ハーフマクロで使えるお気に入りの中望遠レンズ
ミラーレス一眼カメラ「FUJIFILM X-S10」を購入してから1年が経過し、日常のスナップや物撮り、ポートレート写真の撮影などを楽しんでいます。
今回新たに富士フイルム純正の単焦点レンズ「XF60mm F2.4 R macro」を中古で購入したので、X-S10に装着して使ってみた感想や作例などを簡単に紹介していきます。
ポートレートとマクロ撮影をどちらも楽しめる万能なレンズですが、2012年に発売した古いレンズということもあり、購入する前に知っておきたい注意点もありました。
私と同じ用に同じように、富士フィルムの中望遠レンズが気になる人に向けて初心者なりにレビューしていきます。
※本ページは広告・アフィリエイトプログラムにより収益を得ています。
- 目次で流し読みする ・*・:≡( ε:)
XF60mm F2.4 R macroを買った理由
XF60mm F2.4 R macroを買った理由は色々あるのですが、富士フイルムのXシリーズのレンズラインナップの中でも比較的コンパクト、かつ手頃な値段で買えることを重視して選びました。
- ■XF60mm F2.4 R macroを選んだ理由
-
- 安価なXCシリーズのレンズからステップアップしたい
- 中望遠レンズの中でも小型軽量で寄れる
- 富士フィルムの中望遠レンズの中では価格が安い
安価なXCシリーズのレンズからステップアップしたい
最初はキットレンズの小型軽量の電動ズームレンズ「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」を使って、カメラの基本操作や設定を学びました。
数ヶ月使ってもっと一眼らしいボケを活かした撮影がしたくなり、昨年1月に明るい単焦点レンズ「XC35mm F2」を手に入れました。
価格は安くても描写性能はXF35mm F2と同じということもあり、シャープな描写と被写体を浮かび上がらせるボケ具合に満足していました。
どちらも小型で取り回しやすい良いレンズではあるものの、しばらく使っていると画角にも慣れてきてマンネリ化してきます。ボディを買ってからまだ1年ちょっとしか経ってないのに、次から次へと新しいレンズが欲しくなるのはホント沼ですね…。
他の人が使っている作例などを見ると「ポートレート撮影では中望遠レンズが良い」と聞いたので、富士フイルムのレンズラインナップの中から中望遠の画角になるレンズを比較してみました。
中望遠レンズの中でも小型軽量で寄れる
XF50mmF2 R WR | XF50mmF1.0 R WR | XF56mmF1.2 R(APD) | XF60mmF2.4 R Macro | XF90mmF2 R LM WR | |
---|---|---|---|---|---|
発売時期 | 2017年2月23日(木) | 2020年9月24日(木) | 2014年12月11日(木) | 2012年2月18日(土) | 2015年7月16日(木) |
レンズ構成 | 7群9枚 | 9群12枚 | 8群11枚 | 8群10枚 | 8群11枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 9枚 | 7枚 | 9枚 | 7枚 |
焦点距離(35mm換算) | 50mm(75mm) | 50mm(75mm) | 56mm(85mm) | 60mm(91mm) | 90mm(137mm) |
最短撮影距離 | 0.39m | 0.7m | 0.7m | 0.267m | 0.6m |
最大撮影倍率 | 0.15倍 | 0.08倍 | 0.09倍 | 0.5倍 | 0.2倍 |
開放F値 | F2 | F1 | F1.2 | F2.4 | F2 |
画角 | 31.7度 | 31.7度 | 28.5度 | 26.6度 | 17.9度 |
手ブレ補正 | × | × | × | × | × |
防塵/防滴 | ○ | ○ | × | × | ○ |
フィルター径 | 46mm | 77mm | 62mm | 39mm | 62mm |
最大経×長さ | 60×59.4mm | 87×103.5mm | 73.2×69.7mm | 64.1×70.9mm | 75x105mm |
重量 | 200g | 845g | 405g | 215g | 540g |
富士フイルムXシリーズの中望遠レンズは「XF50mmF2 R WR」、「XF50mmF1.0 R WR」、「XF56mmF1.2 R(APD)」、「XF60mmF2.4 R Macro」、「XF90mmF2 R LM WR」の5種類。
今回購入したXF60mmF2.4 R Macroは、2012年2月に発売されたXシリーズ初期からあるマクロレンズです。
小型で軽量なレンズでありながら「シリーズ最高峰の解像度」を持つと言われており、60mm(換算91mm)という画角を活かしたポートレートやスナップ撮影だけではなく、マクロ撮影で被写体にぐっと寄って撮ることもできます。
富士フィルムの中望遠レンズの中では価格が安い
XF50mmF2 R WR | XF50mmF1.0 R WR | XF56mmF1.2 R(APD) | XF60mmF2.4 R Macro | XF90mmF2 R LM WR | |
---|---|---|---|---|---|
新品価格 | 54,450円 | 198,000円 | 115,029円 (180,950円) |
76,450円 | 120,450円 |
中古相場 | 35,000円 ~40,000円 |
150,000円 ~165,000円 |
59,000円 ~67,240円 (82,400円 ~87,000円) |
44,800円 ~60,860円 |
77,800円 ~84,800円 |
Xシリーズの中望遠レンズの価格を比較すると、新品でも中古でも「XF50mmF2 R WR」が一番安くなっています。
今回選んだ「XF60mmF2.4 R Macro」は2番目に安く、新品だと7万円台、中古市場だと4~6万円台で取引されていました。その他のレンズは新品で10万円以上、中古でも6~16万となかなか手が出せません。
中古相場の価格の安さと描写性能の高さに定評があり、神レンズと称された「XF35mm F1.4 R」と同期にあたるレンズと聞いたら俄然興味が湧いてきました。
というわけで、ラクマで比較的状態の良い中古品が4万円台で売っているのを見つけて即ポチしました。購入するまでは物凄く悩みますが、一度買うと決めたらもう迷いません。
ポチってから1週間経ってようやく届きました。沖縄だと船便になってしまうため、到着までの時間が長くなるのはよくあります。
これだけ時間がかかると届くまでに冷めてしまうこともありますが、YouTubeやブログのレビューを漁りながら届くのを楽しみにしていました。
XF60mm F2.4 R macroの外観・デザイン
いつもの高級感がある真っ黒な箱に入ってレンズが到着。
右にレンズ本体、左にレンズフードが入っています。明けた瞬間が一番ワクワクしますよね。
こちらがレンズ本体。絞りリングのトルク具合や見た目のかっこよさに惚れました。
重量は215gと中望遠レンズとしては軽量です。レンズキャップとレンズフィルターを着けていると実測値で243g、レンズフードを付けると313gでした。
XCレンズと比べて多少重くなりましたが、十分許容範囲内だと思います。
リアキャップもしっかりしたモノが付属しています。XCレンズだとプラスチックの簡易的なものだったので…。
X-S10に取り付けるとこんな感じ。クラシックな見た目とうまくマッチしています。
深いグリップのおかげで、片手でも安心してホールドできます。レンズとボディと合わせると重量は約700gちょっとになります。
XF60mm F2.4 R macroはAPS-Cサイズの「60mm F2.4」なので、フルサイズ換算(35mm)だと91mm相当になる中望遠レンズです。ポートレート撮影で使ったり、マクロ撮影で物撮りなんかにも使えます。
ちなみにレンズ経は39mmと小さめ。前の使用者がおまけでレンズプロテクターを付けてくれました。
付属のレンズフードはめちゃくちゃ大きくて重たい(レンズ本体とほぼ同じ)のでそっと箱に戻しました。
2012年発売のレンズということで、レンズ全体を動かしてフォーカスを合わせる「全群繰り出し方式」を採用しています。フォーカスをあわせるたびにギーギー鳴るのはご愛嬌。
描写性能はXシリーズ最高峰と呼ばれており、実際に撮ってみてもシャープなピント面となだらかな背景ボケに思わず声が漏れました。
XF60mm F2.4 R macroの作例・使ってみた感想
それではお待ちかねのXF60mm F2.4 R macroの作例をご紹介します。ブログ用にリサイズのみ行い、色味はフィルムシミュレーションを適用してJPG撮って出しを載せています。
リサイズなしの元画像はGoogleフォトにアップしています。
私はこれまで中望遠レンズを使ったことがなく、使用する前は画角が狭すぎて使いづらそうと思ってました。
ところが、実際に使ってみると評価が一変しました。普段何気なく歩いている町並みでも、広角レンズで撮るよりも主体となるモノが決まりやすく、2m先の被写体を大きく切り取ると作品のように仕上がります。
手ブレ補正なし・フォーカスの遅さはボディ側でカバー
レンズに手ブレ補正がないことを懸念していましたが、ボディ側に付いていれば特に問題無かったです。よく言われているフォーカスの遅さについても、新しい設計のボディがあれば他のレンズとほとんど差を感じません。
新しいボディならAFそこまでストレスないと思いますよ!コンパクトなレンズ2本の組み合わせは持ち運びも楽だし良いですよね😇
— はるか(星を生む人)@はるふれ (@harucamera3) August 13, 2021
ポートレート撮影に活用できる換算91mmの中望遠
一番本命だったポートレートでの撮影。背景は柔らかいボケ感があり、ピント面はシャープにクッキリ浮き立ちます。開放F2.4で撮影するとメリハリのある写真に仕上がりました。
肌の色合いや質感もうまく表現できており、2012年からロングセラーである理由が頷けました。91mmの画角は肉眼よりも狭い画角になるため、背景が大きくなる圧縮効果が働いて印象的な写真になります。
マクロ撮影で細部を鮮明に写し出せる
マクロ撮影時の描写もかなり綺麗で、被写体まである程度近づいてもバッチリピントが合ってくれます。肉眼では確認できないような細かい部分まで鮮明に写し出せるので、花や生き物の撮影、物撮りなどにも活躍してくれました。
iPhone 13 Proでもマクロ撮影を楽しめるようになりましたが、広角カメラを使っているので周辺が歪んでしまいます。広角側で被写体に寄って撮ると、iPhone自体が壁となって影ができてしまう欠点がありました。
XF60mm F2.4 R macroのメリットとデメリット
XF60mm F2.4 R macroを使って感じたメリットとデメリットをまとめるとこんな感じ。
- ■メリット
-
- Xシリーズの中でも圧倒的な描写性能
- 中望遠レンズの中でも小型・軽量
- 中古価格が5万円を切っている
- マクロレンズなので被写体ギリギリまで寄れる
まず一番良かったのは、小型軽量で驚くほど描写性能が高かったこと。
中望遠の画角を活かしたポートレート撮影をしたり、日常の風景を切り取るスナップ写真の撮影が楽しくなります。風景全体を入れるには厳しいのである程度割り切りが必要です。
中望遠レンズなので最初は画角の狭さに悪戦苦闘しましたが、マクロレンズで寄れることを生かして近くの被写体でもピントが合わないことが減りました。
Xシリーズの中望遠レンズの中では価格が抑えられており、中古なら約4万円台から購入できます。個人的にはこれでも高いと感じましたが、ほかの10万円クラスのレンズと比べたらまだ買いやすいと思います。
- ■デメリット
-
- フォーカス駆動音がうるさい
- マクロ撮影でフォーカスが迷いやすい
- 手ブレ補正がない
- 防塵・防滴がない
XF60mm F2.4 R macroは安くて描写性能が高いレンズではありますが、決して万能なレンズではなくデメリットもいくつかあります。
古い設計のレンズなので、全群繰り出し方式でフォーカス音がギーギー鳴ります。動画を撮影するときはガッツリ駆動音が入るので外付けマイクを使う必要があります。
また、防塵・防滴や手ブレ補正が付いていません。私はX-S10を使っているので元から防塵・防滴は非対応で問題なく、手ブレ補正はボディ側に付いているので十分です。
最新のX-Trans CMOS 4を搭載したX-T3以降のモデルで使う場合、AFの速度は特に気にする必要ないくらい素早くピントを合わせてくれます。マクロ撮影だと少し迷いやすい傾向がありますが、動きの少ない被写体なら問題ないレベルです。
まとめ
富士フイルムの単焦点マクロレンズ「XF60mm F2.4 R macro」について紹介しました。
このレンズ1本あれば、中望遠によるポートレート撮影とハーフマクロとしても使える便利なレンズです。200gちょっとで携帯性にも優れており、表現力やボケの綺麗さを重視する人にオススメです。
91mmの画角は屋内撮影に向いていないので、着けっぱなしで運用するよりもここぞというときに使うと良いでしょう。メインで使用するレンズの1本に加えて、シーンに応じて使い分けてみると面白いと思います。