「Galaxy Z Fold3 5G」レビュー!これ1台で何でもこなせるフォルダブルの理想形。使いこなせるかは用途次第?
- ライター:鹿
orefolder.net運営のorefolderさんより、サムスンのフォルダブルスマホ「Galaxy Z Fold3 5G(ドコモ版/SC-55B)」をお借りしました。
Galaxy Z Fold3試してみたいという人いますか?以下の条件で貸せます。
・往復送料(着払いで発送します)
・ブログかTwitterでレビューなり感想を投稿
・期間は2週間程度多少は絡みある人じゃないとちょっと怖いですが…。
— orefolder (@orefolder) January 29, 2022
今回は「ブログかTwitterでレビューや感想を投稿すること」を条件に、約2週間メイン端末として使った感想をレビューしていきます。
Galaxy Z Fold3 5Gの販売価格はdocomo版が237,600円、au版が237,565円と非常に高価です。20万円を超える価格は決して万人向けではないですが、高性能なスマホとタブレットを1台でまとめられることに魅力を感じたら買いだと思います。
実際にしばらく使ってみて、非常によく考えられたスマホでスペックも満足度も最高!…と言いたいところですが、フォルダブルスマホは自分の使い方に合わないと感じました。
どうしてそう思ったのか、どんな人ならオススメできるのか実体験を元に紹介していきます。
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Galaxy Z Fold3 5Gの外観・デザイン
パッケージには大きく「Z」の文字が刻まれています。昔のマグネットが付いた化粧箱と比べると高級感は減ったような気がします。
箱を開けるといきなり本体とご対面。中身はGalaxy Z Fold3 5G本体、USB-C to Cケーブル、SIMピン、取扱説明書。
充電器やケースなどは付属していないので自分で用意する必要があります。
初回予約特典の手帳型ケース(Flip Cover)とSペンも一緒に送っていただきました。
Galaxy Z Fold3 専用 フリップケース with S Pen Black ブラック [正規 並行輸入品] Galaxy Z Fold3 5G Fli...
メインディスプレイ
内側のディスプレイは約7.6インチ 2,208 x 1,768 (QXGA+)の有機ELを搭載。Galaxyシリーズ特有のコントラストの高い色鮮やかな映像が楽しめます。
見る角度によっては中央の折り目がはっきり分かりますが、正面から見る限りはそこまで気になりません。
特に気に入ったのが開いたときのサイズ感。タブレットよりもベゼルが細くなっていて、比較的手が小さな筆者でも片手で楽に鷲掴みできました。
ディスプレイには最初から保護フィルムが貼られていて、これは剥がしてはいけないようです。折り曲がる構造上、ガラスフィルムが貼れないので落としたら一発でアウトです。
メインディスプレイの上部には画面内蔵型のインカメラを搭載。写真では目立つように白背景で撮っていますが、しばらく使っているとそこまで気にしなくなります。
カバーディスプレイ
メインのディスプレイを折り畳んだ状態では、約6.2インチ 2,268×832(HD+)の細長いカバーディスプレイを使って操作します。アスペクト比は「24.5:9」と縦長のXperia 1/5シリーズよりも更に縦長です。
ブラウジングやSNSなど縦スクロール中心のコンテンツだと、カバーディスプレイを使ったほうが一画面に表示できる情報量は多くなります。
「普通のスマホより厚みがあるぶん持ちにくいかな?」と思っていましたが、横幅が67mmとスリムで問題なかったです。テレビのリモコンのような感覚で意外としっくり来ます。
背面
本体背面はサラサラとした触り心地で、指紋汚れが目立ちにくくなっています。高級感があっていいデザインだと思います。純正のSペンも同じマット調の質感になっていて高級感が増しています。
背面中央にはドコモロゴとFelicaマーク、下部にはIMEIと型番が刻まれています。
おサイフケータイに対応しているので、交通系ICや電子決済サービスを利用できます。今までは非対応だったのでメイン機とサブの2台持ちをしている人も多かったですが、これでようやく1台にまとめられます。
側面
カメラの出っ張りはSIMカード2枚分ほど。そこそこ出っ張っているので、カメラを下にして置くとガタツキが出るので注意。
ヒンジ部分は光沢のある質感。国内版は「Galaxy」のロゴがあります。海外版だと「Sumsung」のロゴになっているようです。
閉じた状態から見て、右側面にボタン類が集約しています。カバーディスプレイの側面にはSIMスロット、背面側の側面には指紋センサー内蔵の電源ボタン、音量ボタンです。
厚みや重量はスマホ1.5台分
底面にはUSB Type-Cポートがあります。スピーカーは天面と底面の2箇所にあり、ステレオで立体感のある音を楽しめます。
閉じた状態でも側面から見ると少し隙間が空いています。厚みは14.4mm~16mmと一般的なスマホ1.5台分くらいあるので、ポケットに入れると少しかさばる気がします。
画面を開くと6.4mmと薄く感じます。ヒンジは思っていたより固めで、開く途中で止めることも可能です。
本体の重量は277g。最近のスマホの1.5倍くらいの重さがあり、片手で長時間操作すると段々としんどくなってきます。
フリップカバーとSペンを合わせると342g。ここまで来るとタブレット級の重さになってしまいます。後述するSペンが収納できて便利なケースですが、借りている間はほぼ外していました。
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Galaxy Z Fold3 5Gのスペック
Galaxy Z Fold3 5Gのスペックを表にまとめました。今回はドコモ版のSC-55Bをお借りしてレビューしています。
型番 | ドコモ版:SC-55B au版:SCG11 |
---|---|
カラー | ファントムブラック、ファントムグリーン |
本体サイズ(高さ×幅×厚さ) |
|
重量 | 271g |
ディスプレイ |
|
OS | Android 11(Android 12アップデート配信済み) |
CPU(SoC) | Snapdragon 888 |
メモリ(RAM) | 12GB |
内蔵ストレージ(ROM) | 256GB |
外部ストレージ | 非対応 |
背面カメラ |
光学ズーム(2倍)、デジタルズーム(最大10倍) |
インカメラ(展開時) | 400万画素 F1.8(画面内蔵型) 手ブレ補正非対応 |
カバーカメラ(折り畳み時) | 1,000万画素 F2.2 オートフォーカス非対応 |
バッテリー容量 | 4,400mAh |
充電端子 | USB Type-C |
急速充電の規格・最大出力 | PO 3.0(PPS)最大25W |
ワイヤレス充電 | Qi対応 / 最大10W |
ワイヤレスパワーシェア | 対応 / 最大4.5W |
生体認証 | 側面指紋認証、顔認証 |
防水 | IPX8 |
おサイフケータイ(Felica) | 対応 |
Sペン | 対応 |
CPUはQualcomm Snapdragon 888を採用。発熱しやすいSoCと言われている割にはそこまで気にならなかったです。メモリは12GB、内蔵ストレージは256GBと贅沢な仕様となっています。外部ストレージ(microSD)は非対応なので要注意。
バッテリー容量は4,400mhAと大きめですが、開いて使うとバッテリー消費が激しくなります。充電はUSB Type-Cから行え、USB PD 3.0(PPS)で最大25Wの急速充電にも対応しています。
ワイヤレス充電とリバース充電(ワイヤレスパワーシェア)にも対応。ワイヤレス充電は最大10W、ワイヤレスパワーシェアは最大4.5W出力可能です。
生体認証は顔認証と指紋認証に対応。指紋認証は側面の電源ボタンと一体型です。どちらも認証精度・スピードともに申し分なく、快適に使えました。
そのほか、防水・おサイフケータイ・Sペンに対応しています。フォルダブルに移行してもこれまで通りスマホとしても使いやすい全部入り仕様は嬉しいポイントでした。
ベンチマークスコア
ベンチマークテストの結果は下記の通り。フラグシップにふさわしい高スコアを叩き出しています。
Antutu Benchmark | GeekBench 5 | 3DMark |
---|---|---|
739,670 | シングルコア:1,047 マルチコア:3,372 |
Sling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1:6,189 |
実際の動作も非常に安定しています。長時間使っていると少し発熱が気になるものの、同じCPUを搭載したAQUOS R6と比べるとかなり発熱が抑えられているようでした。
大画面で快適にゲームを楽しめる
ゲームもいくつか試してみましたが、画質を最高まで上げても引っかかりがなくスムーズに動作しています。ゲームに最適化された「Game Booster」を使ってさらにパフォーマンスを向上させることも可能です。
開けばタブレット並の大画面、閉じて使えば片手操作でサクッとプレイできます。どちらも画面比率が特殊なので、一部アプリでは黒帯が出たり、引き伸ばされて表示される問題がありました。
アプリの起動中に開閉した場合、カバーディスプレイで見ていた画面をメインディスプレイでそのまま表示することもできます。非対応のアプリでは、カバーディスプレイの比率でそのまま表示されるため、アプリを再起動する必要があります。
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Galaxy Z Fold3 5Gの特徴・使用感
タブレットをポケットに入れて持ち運べる体験は唯一無二
Galaxy Z Fold3 5Gはスマホとタブレットの中間を埋めてくれる存在です。折り畳めば縦長のスマホとして、広げたらコンパクトなタブレットとしてうまく両立できています。
折り畳めば普通のスマホのようにポケットに入れて持ち運べます。普通のスマホと比べて厚みと重量は1.5倍ほどありますが、手ぶらでタブレットサイズの大画面をどこにでも持ち運べる体験は唯一無二です。
私はディスプレイを開いて使う頻度のほうが高く、カバーディスプレイはほとんど使いませんでした。この端末を手に取るときは「大画面が使いたいとき」と割り切って使っていたからです。
メインディスプレイは撮った写真を大画面で確認したり、ウィンドウを分割してマルチタスクで作業したりと使い方が広がります。
分割表示にするとカバーディスプレイのように縦に長いアスペクト比率になります。ブラウザやSNSなど縦スクロールのコンテンツと相性が良いです。
特に良かったのがYouTube動画の視聴。一般的なスマホと比べても一回り以上大きく表示できて見やすくなりました。
少し折り曲げた状態だと片手でも持ちやすくなります。電子書籍などコンテンツ消費を目的として使うには最高の端末です。
スタンドなしで自立する「フレックスモード」が想像以上に便利
Galaxy Z Fold3 5Gは、半開きの状態にしたまま固定できる「フレックスモード」に対応しています。画面を自分に向けて机に置くとノートPCのように自立します。
カメラを起動中に画面を半開きにすると、画面が上下に分割されます。上半分にプレビュー画面、下半分は撮影した写真と操作ボタンが表示されます。
この機能を使えば、本体を卓上に置いて写真や動画撮影が可能になります。プレゼン資料の撮影や夜間の長時間露光の撮影でも手ブレを気にせず撮れるのは便利でした。画面を開く角度によって画角の微調整が行えるため、ちょっとした撮影なら三脚なしで行えます。
YouTubeやZoomなど対応アプリでは、折り目に沿って上半分が映像、下半分にボタン操作が移動して机に設置したまま操作しやすくなります。
カバーディスプレイを下にして置くことになるため、接地面によっては画面に傷がつく恐れがある点は注意が必要です。
Sペンでお絵かきやメモが取れる
Galaxy Z Fold3は新たにSペンに対応しました。フォルダブルスマホに最適化されたSペン(Fold Edition)が利用できます。通常版(BT版)と違って、筆圧が強くなってもディスプレイを保護できます。
Sペンを使って画面をタッチすると、専用のメニューが表示されます。スクリーンショットを撮ってメモ書きをしたり、画像の一部分を切り抜いて共有できます。
メインディスプレイの折り目にできた段差部分も問題なく書けます。従来のNoteシリーズよりも大画面でよりノートらしく使えました。
折り畳みなのにIPX8防水対応がすごい
Galaxy Z Fold3 5GはIPX8相当の防水に対応しています(防塵機能は非対応)
折り畳み式構造で防水に対応している機種はGalaxy Z Fold3/Flip3が世界初。濡れた手で操作したり、雨の中でうっかり濡らしたとしても壊れる心配が少ないです。
指紋認証と顔認証に対応
Galazy Z Fold3 5Gは顔認証と指紋認証によるロック解除に対応しています。両方対応していることでシーンによって使い分けられます。
屋外でマスクを着用しているときは、側面の電源ボタン一体型の指紋センサーを使ってロック解除が行なえます。個人的には画面内指紋認証よりも素早く読み取れる物理式のほうが好みです。
顔認証はカバーディスプレイ側、メインディスプレイ側のどちらでも使えます。簡易タイプの認証なので、スマホの角度によってはうまく認証されないことがありました。
Galaxy Z Fold3 5Gのカメラ性能
Galaxy Z Fold3 5Gの背面カメラは、広角・超広角・望遠のトリプルカメラを搭載。いずれも1,200万画素で、光学ズームは2倍、デジタルズームと組み合わせて最大10倍まで拡大可能です。
インカメラは折り畳んだ状態と展開時に1つずつ付いています。カバーディスプレイのカメラは1,000万画素、展開時のディスプレイは画面内蔵型で400万画素です。
開いて大画面でプレビューしたり、カバーディスプレイを使ってアウトカメラで自撮りをするなど、今までにない自由な使い方ができるカメラです。
ここでは実際にGalaxy Z Fold3 5Gの背面カメラで撮影した写真を作例として載せておきます。設定はすべてオートで撮影し、ブログ用にリサイズのみ行っています。
元素材はGoogleフォトにアップロードしています。
ゆいレールの駅前を少し離れた位置から撮影。雲が多い空模様でも結構明るく撮れているのではないでしょうか。
Galaxy Z Fold3 5Gのズームは光学2倍まで。デジタル10倍ズームでは粗さが目立ちます。カメラはZ Fold 2から変わっていないらしく、画質にこだわりたい人はS21シリーズのほうがいいと思います。
広角カメラで被写体に寄って撮影。思っていたよりマクロ撮影も十分使えますね。背景もいい感じにボケてくれました。色味はGalaxyらしく彩度高めのくっきりとした写りです。
食べ物を撮ったときは、AIが被写体を判定して色鮮やかにしてくれます。適当にシャッターボタンを押すだけで美味しそうに撮れています。
食事モードだと「ラジアルブラー」と呼ばれる背景ぼかし機能が使えます。1枚目のチキン南蛮はタルタルのみフォーカスが合っていて、後ろのカツが完全にボケてしまっています。必要ないときはOFFにしておくといいでしょう。
夜間撮影はナイトモードを使うと白飛びや黒つぶれが少なくなります。超広角レンズだと細部が潰れてノイズの多い写真になりました。
Galaxy Z Fold3 5Gのイマイチなところ
全体的に完成度が高く満足していますが、細かい部分で気になるポイントがいくつかありました。
- Sペンを本体に収納できない
- スマホとして使うには重すぎる
- メインディスプレイにガラスフィルムを貼れない
- カメラ性能はミドルレンジ程度
Sペンを本体に収納できない
従来のNoteシリーズは本体に収納して一緒に持ち運べますが、Galaxy Z Fold3 5Gは別々で持ち運ぶ必要があります。サッとペンを取り出し、スマホでメモを取るようなイメージだと収納場所に困るかもしれません。
初回予約特典で付いてきた手帳型ケースにSペンを収納できますが、ケース自体の使い勝手がそこまで良くないと感じました。
スマホとして使うには重すぎる
お借りする前から分かっていたことですが、スマホとして使うにはかなり分厚く重たいと感じます。ここは利便性とのトレードオフなので仕方ない部分です。
開いて使う分にはそこまで気にならないですが、閉じた状態だと手首に負担が掛かります。寝ながらSNSをチェックしたり電話をするとかなりしんどいです。
私は結局コンパクトなスマホと2台持ちにして使い分けていました。防水やFelicaにも対応し、これ1台で何でもこなせる反面、スマホとして使うシーンでは普通のスマホのほうが使い勝手は良かったです。
メインディスプレイにガラスフィルムを貼れない
私は新しいスマホを買うと、ケースやガラスフィルムを付けてガッチリ守っておきたい派です。
Galaxy Z Fold3は折り畳みの構造上、メインディスプレイにガラスフィルムを貼り付けられません。最初から付いているフィルムでも小キズは防げますが、落下したときの衝撃は吸収できません。
普段は折り畳んでいれば内側のディスプレイは守られるものの、画面を開閉するときに誤って落としてしまいそうでヒヤヒヤしながら使っていました。
まとめ:スマホとしては使いにくいが、手軽に持ち運べるタブレットとしては最高
本記事では、Galaxy Z Fold3 5Gについてレビューしました。
折り畳み式のフォルダブルスマホを初めて触ってみて、スマホとして使うよりも「折り畳めるタブレット」として使う人に向いていると感じました。
常にポケットに入れて持ち運べるタブレットに魅力を感じるか、スマホとしては少々扱いにくいサイズでも我慢できる方にはおすすめです。
パカパカと開閉するギミックは人に見せると話題になり、使っていて所有欲を満たしてくれるデバイスでした。防水・おサイフケータイ・ワイヤレス充電など私がスマホに求める機能も全部揃っています。
それでも自分の使い方にはうまく馴染めず、スマホを2台持ちのスタイルが使いやすかったです。もう少し長期的に利用してみたら評価が変わるかもしれませんが、アプリの最適化がまだまだ進んでいない現時点では時期尚早かなと感じました。
今後フォルダブル端末が普及していくことで、もっと便利に活用できるアプリや機能が増えていくことに期待します。
折り畳めるメリットと、それに伴う制約を天秤にかけたとき、フォルダブルが一般化するのはもう少し先じゃないかなと思います。
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