4枚のSIMカードを使い分ける「SIM CHANGER ⊿(デルタ)」が残念すぎる…。上手く動かず端末を大きく選ぶ結果に
昨年8月にmakuakeにてクラウドファンディングを開始した「SIM CHANGER ⊿(デルタ)」という製品をご存知でしょうか。4枚のSIMカードを使い分けることが可能な商品として話題を集め、結果として8,695,320円の出資と725人のサポーターが集まり話題を呼びました。
当初予定していた2017年03月中にお届け予定から2ヶ月以上遅れましたが、ようやく出資者へ発送されて続々と到着しているようです。
今回は沖縄のフォロワーのはざ(@haza3g)さんに協力してもらい、デルタをお借りすることが出来たので簡単にレビューします。結論としては端末の相性が悪かったのか上手く接続できなかったのですが、商品の外観や利用方法などをまとめて紹介します。
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SIM CHANGER ⊿(デルタ)とは?
SIM CHANGER ⊿(デルタ)とは、NTTドコモが開発した「ポータブルSIM」の技術を活用してSIMカードの抜き差しすることなく、4枚のSIMカードを切り換えて使えるという今まで無かった新しい製品。これによりSIMスロットが1つしかないスマホでも複数回線を使い分けできるようになります。
Wi-Fiルーターとは異なりSIM CHANGER ⊿(デルタ)自身にはLTE・3Gの通信機能を持っていません。利用するデバイス本体側に挿入する「ブリッジカード」とBluetoothで繋がることでSIMカードの切替機能が使える製品で、通信自体はデバイス本体の仕組みを利用します。
SIM CHANGER デルタはあくまでスマートフォン本体から「ブリッジカード」へのSIM情報問い合わせに対し、Bluetooth経由でSIM CHANGER デルタが応えることで通信を実現しています。通信そのものはスマートフォンが行なっておりますので、対応バンドはスマートフォン側に依存します。
引用元:4回線のSIMを自在に操れ。通信回線切替デバイス『SIM CHANGERデルタ』 | クラウドファンディング – Makuake(マクアケ)
詳しい使い方は公式動画が参考になります。
気になる価格についてですが、先着200名限定で「本体1台+ブリッジカード1枚」のセットが10,800円(通常価格12,960円、33%オフ)、「本体1台+ブリッジカード2枚」のセットが14,040円(通常価格16,200円、28%オフ)でした。ブリッジカード単体も3,240円で販売しています。
パッケージの中身や本体外観をチェック
紙袋の中にプチプチが付いた簡易包装のため箱が大きく潰れてしまっています。製品自体に問題ないものの、精密機器なのであまりいい印象はないです。
内容物はデルタ本体、クイックスタートガイド、micro USBケーブル、ブリッジカード2枚(Android・iOS用)が付いてきました。最近見かけるマルチSIM仕様でくり抜く位置によってmicroSIMやnanoSIMになります。
ブリッジカードは通常のnanoSIMと比べて端子部分の模様が異なります。
こちらがデルタ本体。プラスチック製・軽量かつ指紋が目立つでちょっと安っぽい印象もありますが、普段はカバンの中に入れておく製品だと思うのでそこまで気にならないです。
背面側には4つのLEDインジケータが付いています。
背面のSIMスロットは4つあり、SIMトレイの上に小さく「・」が打たれてスロットの番号を表しています。写真から見て手前2つがnanoSIM、奥の2つがmicroSIMです。
左側面にはmicroUSBポートとリセット用の穴が空いています。右側面には電源スイッチ。
デルタを使ってみる
何はともあれ、まずは実際に試してみましょう。使用方法を見ながら設定してみます。
SIMカードとブリッジカードを挿入する
ブリッジカードをスマホ本体に挿入して試してみます。ブリッジカードはそれぞれAndroid用は青、iOS用は白を使います。
SIMスロットにSIMカードを挿入して閉じます。本当はSIMスロットが4つじゃ全然足りない写真を撮りたかったのですが、外出時に持ち歩くSIMの枚数が少なかったので諦めました。(悔しい)
アプリをインストールして設定
続いては接続に使用する専用アプリをインストールし起動します。
画面の指示に従い設定を行います。
アプリのトップ画面に来るといきなりアップデートしろと言われたので、言われるがままデルタのアップデートを掛けます。アプリの雰囲気はサイバー風で中二病な感じ。
ブリッジカードの項目(上)のSELECTボタンを押して接続します。
最後にデルタの項目(下)のSELECTボタンを押してデルタとも接続します。後は接続したいSIMの番号を2回タップして切り替えます。
本来なら数秒待って接続が完了するはずが、何故か何度やっても「Bluetoothとの接続に失敗しました。Bluetooth設定を確認し、再度やり直して下さい。」と表示されてしまいます。端末の相性によって使えたり使えなかったりするそうです。
本来ならここで「ブリッドを開始しました。」とトーストが表示されるようですが、今回試したGalaxy S7 Edge(SCV33・SC-02H)とHuawei Mate9ではどちらもダメでした。何度試しても接続出来なかったのでこの日は諦めました。
SIM CHANGERの設定難航してる pic.twitter.com/jIUVEZOJO3
— はざ (@haza3g) June 2, 2017
ミスドで1時間くらい格闘したのにダメでした\(^o^)/
後日改めて別機種で問題なく接続された
後日改めて別の機種で試してみたところ、Galaxy S6とiPhone7では問題なく接続できたようです。
先ほどと同じような流れでBluetoothをオンにしてブリッジカードの認識とデルタの接続を行うと問題なく繋がります。アンテナピクトが立った状態になれば、後は普通にAPN設定を進めることでLTEが繋がるようになります。
SIMカードを切り替える度に再起動が必要
SIMカードを切り替えるときに一度使用中のスロットを接続解除してから再度接続するのですが、切断されたタイミングでブリッジカードを見失ってしまいデルタを再起動するまで認識されない事象が発生しました。再起動すると1からやり直しでまた接続するところからスタートします。
iOSのほうは再起動さえすれば問題なく接続できますが、やはり動作が安定しないことに不安が残ります。SIMを切り替える度に設定プロファイルを削除して、新たにインストールし直すのもかなり手間が掛かります。
これではSIMカードを自在に操るというキャッチコピーとは程遠いのではないでしょうか…。
差し込んだSIMが抜けない!
一通り試し終わったのでデルタからSIMを取り外そうとすると、トレイに引っかかってSIMトレイが抜けなくなってしまいました。
makuakeでも同様の事象報告が上がっているらしく公式回答は以下の通りです。
・SIMを入れたトレイが本体から抜けない
SIMカードのサイズはメーカーによってばらつきがあり、取り出しが難しい場合があります。トレイを取り出す際に上下に力を加えながら引く、ひっかかりが強いときは一度トレイを引くのを止めて、改めて上下に力を加えながら引く、という手順をお試し下さい。上記でも取り出しが難しい場合は、お手数ですがサポートまでご連絡下さい。
引用元:4回線のSIMを自在に操れ。通信回線切替デバイス『SIM CHANGERデルタ』 コミュニケーション 詳細 80997 | クラウドファンディング – Makuake(マクアケ)
最悪の場合サポートに連絡して交換してもらう形になるのでしょうか。今回はサポートの通り上下に動かしながら少しずつ力を入れるとスポッと抜けたので一安心です。
期待値が高かっただけに残念な要素が目立つ
個人的に気になっていた製品だけに残念な要素が目立つ結果になりました。
- 利用できる端末を選ぶ
- 接続に手間が掛かる
- 切断されたら最初からやり直し
- SIMを切り替えるたびに設定をやり直す
- iOSはプロファイルの削除→再インストールが必要
Twitterの反響を見てみると私と同じように使えない人や問題なく使える人、SIMの切り替えだけだけうまくいかない人など様々な報告が上がっていました。
「クラウドファンディングに期待しすぎ」なのかもしれませんが、正直言ってあまりいい印象は残りませんでした。今後のバージョンアップなどによって安定して動くようになればいいですが…。
どうしても手持ちの端末で利用できない・安定して動作しない場合、問い合わせから返金処理も受け付けるそうなので一度確認してみるといいかもしれません。