日経ビジネス記者によるMVNOの認知のズレは、リテラシーが低いユーザーの生の声だった
Twitterやはてなブックマークを見ていると、日経ビジネスに掲載されている記事が話題を呼んでいました。
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シニア層が抱くMVNOの疑問
この記事では格安SIMに興味のあったシニアライターが、楽天主催のMVNOに関する勉強会で疑問をぶつけていくという記事でした。MVNOは興味はあっても実際どんなものなのか分からない人も多く、こういったイベントを通して一般層へ普及させていく狙いだと思います。
元記事では「格安スマホにかかわる主な4つの不安」として例を挙げています。
MVNOは端末の種類が少ない
「まず『MVNOは端末の種類が少ない』。現段階ではその通りですが、5月1日からSIMロックの解除が義務付けられますので、SIMフリー端末がどんどん増える見込みです。iPhoneの場合、すでにSIMフリーの端末を購入することが可能です。アンドロイドでもSIMフリー端末が増える見通しです」
引用元:シニア記者、スマホ勉強会で逆上す (3ページ目):日経ビジネスオンライン
現状ではドコモの電波を借りているMVNOはドコモの端末、auの電波を借りているMVNOはauの端末でしか使えないように制限されております。制限が掛かっていないSIMフリー端末はまだまだ数が少ないです。
「SIMロックが解除されるから好きな端末と回線を組み合わせられる!」と勘違いされることが多いですが、端末が受信できる電波の種類がそれぞれ決まっているので、組み合わせによっては使えないことがあります。
SIMロック解除を提供することによって、ITリテラシーが低い人が余計に混乱してしまいそうです。
MVNOには通話かけ放題プランがない
「次に『MVNOには通話かけ放題プランがない』ですが、そもそもスマホでそんなに通話するでしょうか」
引用元:シニア記者、スマホ勉強会で逆上す (3ページ目):日経ビジネスオンライン
これに関しては人それぞれあると思うので、「そもそもスマホでそんなに通話するでしょうか」と言い切るのは良くないです。
特にシニア層はメールやLINEよりも電話で連絡することが多く、家族間通話が有料だったり通話定額プランが無いので、通話料で今より高くなってしまうことも考えられます。
キャリアメールなどが使えない
『キャリアメールが使えない』ですが、これもキャリアメールって、本当に必要なんでしょうか。GmailやYahoo!メールで十分、代用できますし、ViberやLINEを使う手もあります
引用元:シニア記者、スマホ勉強会で逆上す (3ページ目):日経ビジネスオンライン
キャリアメールに関しても、リテラシーが高い人が思っている以上に重要視されていることが多いです。今でもキャリアメールではないと利用できないサービスも多く存在します。
また、キャリアが行っている迷惑メール対策でキャリアメール以外のメールアドレスを弾く設定にしていることもよくあります。そのためキャリアメール以外でメールを送ると相手に届かないことがあり、相手にフィルタリングの設定を変更してもらったりする手間が発生します。
相手がある程度設定に詳しくないと設定できないので、シニア層には特に切り捨てることは出来ないものだと思います。
店頭サポートがない
「最後に『店頭でのサポートがない』ですが、これもそんなに頻繁に店頭サポートが必要でしょうか?」
引用元:シニア記者、スマホ勉強会で逆上す (3ページ目):日経ビジネスオンライン
MVNOはほとんどの場合、店頭でのサポートを行っておらず電話やウェブ上で問い合わせをしなければいけません。キャリアでも窓口に説明を受けている人がたくさん来ているのを見ると、不要だとは言えないと思います。
ただし、キャリアの手厚いサポートはMNOの高額な維持費や本体代金があるから実現できているので、MVNOの安い金額ではショップをいくつも用意したり店員を雇ったりするのが難しいと思います。
以前、MVNOについてドコモショップに問い合わせしてくる事が多くあったため、ドコモのホームページでは「MVNO様の窓口へ直接お問い合わせください。」と案内されています。
MVNO様の通信サービスは、そのサービスのご利用者様に対して、MVNO様が一義的に提供するものとなります。MVNO様の提供するサービスについての内容、端末の動作確認、ユーザーサポートなどの各種お問い合わせにつきましてはMVNO様の窓口へ直接お問い合わせください。
引用元:MVNO様のサービスをご利用される方へ | 企業情報 | NTTドコモ
ドコモはMVNO事業者へ通信サービスを貸しているだけなので、ドコモに問い合わせされても答えられません。ドコモ回線を使用しているMVNOが多いので同じものだと勘違いしてしまうのも無理はないかもしれません。
MVNOは現状ITリテラシーの高い人向けのサービス
この記事がなぜここまで言及されているかというと、「MVNOにMNO並の機能とサポートを求めたから」だと考えられます。
そもそもMVNOというものは「ITリテラシーの高い人」に向けたサービスだと感じます。MVNOが安いのはMNOから電波を間借りして、多額の広告費やキャリアのサポート・機能を省いたから月額料金が安くなるものです。
本来ターゲットとしているのは、「キャリアの店頭サポートや機能が必要ない人」「通話をあまりしない人」「2代目としてライトに使う人」であって、ただ安いからという理由だけで契約するのは後で後悔してしまうことが多いです。
MVNOが安い理由よりMNOが高い理由を説明すべき
MNOが高いのも「次世代技術の開発・通信インフラの維持・店舗のサポートやコンテンツサービスにコストを掛けているから」というちゃんとした理由があります。MVNOが安い理由を説明するよりも、まず先にそれを説明しておくべきですね。
MVNOにアレがないコレが無いというのは、ファーストフードにおもてなしを求めているようなものです。おもてなしを求めるならそれ相応のお店に行けばいいのです。
元記事は一部説明が間違っていたりするので叩いている人も居ますが、本当に分からない人ってそんな風に思っている人ばかりだと思いますよ。ライターさんの素直な感想なので、ITリテラシーの低い人が感じている不安や思いがストレートに伝わってきました。老害だ情弱だと言って馬鹿にするのは間違っていますよ。